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売買事例 0706-B-0019
他人物売買における買主の権利保全
  用地を買収するのに、他人物売買のかたちで売買契約(用地取得契約)を締結することがある。この場合、他人物売買の買主(用地取得者)が確実に所有権を取得するには、どのような方法があるか。

事実関係
   当社は媒介業者であるが、このたびあるデベロッパーのマンション用地の買収のため、いわゆる「他人物売買」のかたちでビルの売買の媒介を行う。
 その理由は、本物件にはまだテナントが入居しているので、買主(デベロッパー)が直接所有者との売買契約を締結することはせずに、まず先に、このテナントの立退き問題を解決させるために、専門の業者である今回の売主との間で「他人物売買」を行うかたちをとったのである。
 そのため、現在の所有者と売主との間では、売主がテナントの立退きを完了させることを停止条件とする売買契約を締結し、売主のために本物件に所有権移転請求権保全の仮登記をすることとし、最終の買主であるデベロッパーと売主との間では、テナントの立退きと売主の完全所有権取得を停止条件とする売買契約(他人物売買)を締結することにしたのである。そして、そのための基本協定も締結した。


質問
  1. テナントの立退きが完了したのち、売主が本物件を第三者に売却したりするのを防止する手立てはあるか。
  2. 買主(デベロッパー)が売主に相応の手付金なり内金を支払ったにもかかわらず、本物件を取得できないというようなことがないようにするには、どのような手立てがあるか。


回答
  1.結論
 
(1) 質問1.について
 (完全とはいえないが)売主の所有権移転請求権保全の仮登記に、買主(デベロッパー)が更に仮登記(いずれも、いわゆる「2号仮登記」)をするという方法がある。
  (2) 質問2.について
 (今からでも交渉が可能であれば)売買代金の支払はあくまでも当事者の話し合いで決まるのであるから、何も手付金とか内金・残代金といったかたちに分けて支払う必要はなく、売主の条件成就と同時に、売買代金全額を一括で支払い、直ちに仮登記の抹消と所有権移転登記の申請手続に入るという方法もある。
 しかし、どうしても手付金等を先に支払わざるを得ないというのであれば、上記(1)の仮登記の仮登記を行うことにより、一応の保全を図ることはできる。
 
2.理由
 
(1) について
 仮登記の仮登記は判例は認めていないが(大判大正4年5月29日、東京高判昭和46年10月29日)、登記実務では認められている(昭和36年12月27日民事甲第1600号民事局長通達)。したがって、本件の場合も売主の仮登記に仮登記をつけることにより、とりあえずの保全をすることができる。また、判例は仮登記の仮登記を認めていないといっても、売主が本物件を第三者に売却した場合、その第三者は買主(デベロッパー)の仮登記の仮登記を抹消させるために訴えを提起しなければならず、そのような物件を購入する第三者が現れる可能性は少ないと思われるので、仮登記の仮登記もそれなりの実益はあるといえる。
  (2) について
(略)


監修者のコメント
 宅建業者が他人物売買すなわち自己に所有権のない物件の売主として売買契約を締結することは、宅建業法で制限されており(同法第33条の2)、また例外として許される「売主である宅建業者が所有者と取得契約を締結しているとき」についても、取得契約が「停止条件付契約」のときは、許されないことになっている(同条第1号かっこ書)。
 しかし、買主も宅建業者である場合は、この規定が適用されないので(同法第78条第2項)、本件では問題ないが、仮に買主が宅建業者でない業種の場合には、業法違反とならないように注意しなければならない。
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